北鎌倉は鎌倉時代から寺院が建ち、由緒ある仏像が多く残っています。 歴史を感じながら巡ってみてはいかがでしょう?
多くの女性を見守ってきたご本尊
頭の内側に墨書きされた文章(墨書銘 ぼくしょめい)によると、1515年に起きた火事の時に焼失を免れ、その3年後に顔が彩色され左眼が入れられたとあります。また、1671年には全面的に修復が行われました。当初、台座の前方に裳裾(もすそ)が垂れ下がっていたと言われています。
数奇な運命をたどった観音菩薩像
もとは鎌倉・西御門にあった太平寺の本尊。1526年に安房(現在の千葉・房総半島)の里見氏が鎌倉に攻め込んだ際に奪い去られますが、後に東慶寺の要山尼の尽力により鎌倉に戻りました。衣の部分の刺繍のように際立って見える模様は、粘土で作り漆により貼りつけたもの。この技法は、鎌倉後期から南北朝時代にかけて造られた彫刻にしかみられないと言われています。
くつろいだ姿が優美な観音様
水面に映る月を眺める姿といわれ、このようにくつろいだ姿の観音像は中国の宋から元時代に大流行しましたが、日本では鎌倉周辺でしか見ることができません。頭髪や衣の表現が写実的で美しく、多くのファンがいます。水月観音は水月堂に安置され、毎月18日 観音縁日に御開帳されます。※詳細は公式HPをご確認ください。
矢野智徳氏指導の元、「大地の再生」に取り組む境内。
お参り後は、北鎌倉の自然が織りなす風景に注目してみてください。
過去・現在・未来の想い
三世(過去・現在・未来)に渡り、人々の願いを聞き入れて欲しいという思いから、仏の「過去」の姿「阿弥陀」、「現在」の「釈迦」、「未来」の「弥勒」を並べた三世仏が本尊となったと伝わります。両脇に垂れた長い衣や、黒い床は中国から伝わった「宗風」という様式です。
映画「DESTINY鎌倉ものがたり」のロケ地のひとつ!
門前の石段が美しく「DESTIN 鎌倉ものがたり」(2017年)に登場します。
すべての人を救う地蔵菩薩
地蔵菩薩を本尊とする寺は珍しく、かつてこの地が「地獄谷」(じごくがやつ)と呼ばれた処刑場で、善人も罪人も分け隔てなく救う地蔵像を祀る心平寺がありました。そのことから建長寺の本尊も地蔵菩薩になったと伝えられています。